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ARCUS弓のご紹介


 弓の基本的な目的は、楽器自身の持つ純粋な音色を100%引き出すことです。 しかし、弓が弦をこすると楽器本体のみでなく、弓そのものも振動してしまいます。 そして弓は常に独自の周波数を発信して楽器本体を反響させ、その結果生まれるのが、音の歪です。 弓の素材として従来ペルナンブコ材が広く使われてきたのは、振動吸収力が比較的高く、反響しにくいという特性によるものです。

 ARCUSは、弓の素材として過去何百年間使われてきた自然素材ペルナンブコに代わって、新素材の高品質カ−ボン繊維を用いています。 その処理においては世界最高の技術を持つオーストリアにおいて完成されました。
 ARCUS
を成すカーボン繊維は、振動吸収力が大きく、自身が反響して雑音を出さない」、そのような「基本性能」においては実にペルナンブコをも上回るものなのです。





ARCUS 製品の特長

   「始めに」

    1. ARCUS の完成度

   2. ARCUS の耐久性


    3. ARCUS の音の伝導効率

    4. ARCUS の音の透明さ

    5. 材質の違いと重さ(質量)の差

    6. ARCUS での奏法

    7. ARCUS と健康

    8. ARCUS 各モデルの性能

    9. ARCUS 製作の精密さ

   10. ARCUS の比較テスト、コメント

   11. 図でみる ARCUS の特性


   12. 弓の手入れ、ARCUS の手入れ




始めに

 ARCUSの製作は、まず長時間カーボン繊維を焼き固めることから始まります。 カーボン弓の中ではARCUSのみが現在この製法を用いており、ここからして「異色のカーボン」と言われるのかもしれません。 型として用いられるのは、著名なレンズ・メーカー「カール・ツァイス」社が製作しているもので、まさに光学的な精密さを誇るものです。
 この製法のおかげで余分な樹脂成分は最小限に抑えられ、高性能が達成されます。 樹脂成分が多いとカーボンの純度が低下し、また性能の「劣化」もこの樹脂成分が酸化することによって起こります。
 この優れた性能の長期に及ぶ持続期間は、他製法のカーボンを凌駕するのみでなく、歴史的名弓のそれをも越えるものと考えられています。
ARCUSは、軽いのにしっかりしている!」・・・、その秘密はここにあります。
 ARCUSの密度と強度は元から先まで極めて均質で、これを上回ることは天然素材では難しいかもしれません。 どの位置でも弾きやすく、いわゆる「段差」がないのはこのためです。 「バランスがいい」、「音の立ち上がりが速くて自然」、「音も BOWING も滑らか」、「雑音が無い」、「長時間弾いても疲れない」、「練習が楽しくなった」・・・、数々のお褒めの言葉をいただき、ARCUSはとても感謝しています。

 

1. ARCUS の完成度

 弓の完成度の基準は、まず素材が高い密度しなやかさを併せ持つことです。 
ARCUS
は、従来のペルナンブコ材におけるその基準をはるかに上回っています。 その結果 、木より軽くても、弓の素材として理想的な密度を得ることが出来ます。  また経年変化による素材の劣化も起らず、しなやかさが恒久的に安定している一方、いわゆる「へたり」もありません。
 「くせがついて、曲がってしまうことは?」 「考えられません!」


2. ARCUS の耐久性

 従来の弓は先端部分が非常に折れやすいため、取り扱いには大変な神経を使いました。 しかしARCUSは、弓全域において傑出した強度と抜群の耐久性を誇っています。
 「落としても折れないの?」 「はい、通常の使用状況で折れることは、まず考えられません。」 
また弓本体のスティック部は、湿気の影響をまったく受けません。
 (でも、ケースにしまうときは、ちゃんと弛めてくださいね。 毛がかわいそうですから!)

 したがって毛替えの際にも、不慮の事故の心配がまったくありません。 
もちろんお手近のお店でやっていただけますし、作業はむしろ容易でさえあります。 先端部には、破損しやすい象牙ではなく金、銀などを用いていますし、毛の先端もより深く埋め込むことが出来ます。



3. ARCUS の音の伝導効率

 近年のコンサートホールは大型化して、より優れたソニックスピード(音の伝導効率)が求められています。 ARCUSのソニックスピードは、最高のペルナンブコ材が達成する毎秒 6,100m をも凌ぐ、毎秒 7,500m の性能をも実現しています。 その結果 、高価な楽器本体を持たなくても、力強く量感のある音色を生み出すことを可能にしました。 


4. ARCUS の音の透明さ

 ARCUS
は自身の共振による雑音の発生が大変少ないため、「音の歪によるノイズがない」と演奏中にすぐに実感できるほど、音色がくっきり透明です。 これは最初はスリムに聞こえるかもしれません。 しかし、「雑音成分」不快な「倍音成分」までを含めて「音」としていた従来の感覚を、私自身は改める必要があると感じました。
 また演奏者によっては、身体で感じた弓自体の振動を「快い、必須の物」と信じてしまい、それをあたかも「実際に鳴っている音の一部」であるかのように感じてしまう場合すらあります。 その際往々にして耳にする感想は、「ARCUSには木の温もりが無い」というものです。 これはちょうど、自分の声を録音して聴いてみると、「普段聞きなれた自分の声とはまるで思えない!」…と驚いてしまうのと、よく似ています。

 ARCUSの密度は均質で剛性が高いため、従来ほど毛の張りを強くする必要がありません。 そのために、弓の毛のしなやかさを生かした、自然な弦の振動が得られます。

 「力を抜くって、このことかしら?」 そのような感触に一歩近づくために、ARCUSもぜひご一緒にお役に立てるよう、望んでいます。 


5. 材質の違いと重さ(質量)の差
  
ARCUSは軽いのに、どうして鳴るの?!」

 楽器が大きくなると弦の張力も強くなるので、ヴァイオリン、チェロ・・・、となるにつれてARCUSもやはり重くなりますが、そもそも弓にはなぜ「重さ」が必要なのでしょうか? 弦の張力に対抗するためには、どんな場合でもまず重さが必要なのでしょうか
 だいぶ以前のことですが、さる高名な楽器職人さんM氏(日本人)でさえ、「いかなる材料を使おうと、弦を鳴らすのに必要な重量は変わらない」と固く信じきっておられました。 彼はまずARCUSの重さを計り終るなり、「はい、弓としては落第!」と断定すると、以後ARCUSの音はおろか、私の説明さえ一切聞こうとしなかったのです(2001/11/10、横浜Y楽器店)。

 それではここで弦の振動の様子を、ご一緒に考えてみましょう。

 弦は真横に振動するのが理想ですが、現実には上下振動の加わった「楕円運動」をしています。 ところが、弦に加わる重さが増し、上下運動の要素が増えれば増えるほど、振動には無理が生じます。 重さによって音量が増したとしても、同時に雑音要素も増え、音質は濁ってしまうのです。 したがって美しい自然な音を得るには、重さの要素を極力減らし、なおかつ弦を横向きにしっかり振動させることが、大事な条件の一つになります。 (指や腕の重さで「摩擦抵抗」を増やしたり、また弦にかかる重さを減らしたりのコントロールは、そのあとの問題です。)
 言い換えれば、「軽くても如何にしっかり毛の張りを保持出来るか」が、弓にとっては大問題なのです。

 従来の材質を用いた場合、そのために充分な強度を得るには、ヴァイオリン弓では60グラム前後の「重さ」、もっと正確には「質量」が必要でした。 ところがARCUSの用いるカーボン・ファイバーは、質量が小さくても毛の張りをしっかり保持できるような材質なのです。 結果的に弓は軽くなる・・・、これが、材質面から見たARCUSの秘密です。

 それでも重さはもちろん必要ですし、また残念ながら必要以上に重さ、力に頼ってしまう場合もあります。 必要最小限の重さと動きで、いい音、いい音楽を作り上げるには‥? そんなとき、これは私個人の場合ですが、自分の演奏時の発音の効率に問題が無いかどうかをチェックするようにしています。 具体的には、
  @弓と弦との角度、
  A弓の速度、重さ、駒からの距離(〜いわゆる「三条件」)、跳ばし弓での高さなどがよく調和しているか、
  B姿勢や構え方に問題があり、楽器のネック側が下を向くことが多すぎないか (ヴァイオリン、ヴィオラ)
などです。 発音の効率が悪ければ、本来は不必要なはずのにどうしても頼らざるを得ず、たとえ音量が増しても同時に雑音成分も増え、結局「いたちごっこ」になると同時に、身体にも余計な負担がかかるからです。 逆に効率が良ければ美しい音色が得られ易く、身体の疲れも減るものと信じています。

 道具としての弓も自己を改善し、演奏者の負担を少しでも減らしたい‥、ARCUS自身も絶えずその改良に努めています。
 数百年前、もしペルナンブコよりも先にカーボンが弓の材質として用いられていたとしたら‥、また、もし技術大国日本で、純度の高い高品質カーボン弓が先に地位を確立していたとしたら‥、世界の弓の歴史は一体どう変っていたでしょうか?



6. ARCUS での奏法
   「弾き方は従来の弓とかなり違うの?」

 ほとんど変わりませんが、以下は本国メーカーの推奨するものです。

        弓(毛)は余り傾けすぎず、         跳ばす際は、高さより弓幅を広めに、
    
                                       

 また、毛の量、張り具合は、若干少なめが適しているとのことです。

 一般的に、「毛の量は少ないほうが音質は純粋だが、弦の振動の影響を受けやすい。 逆に
毛が多めだと弓は安定しやすいが、音質が犠牲になる。」…といわれます。 最近の ARCUS で
は、個々の弓ごとに毛の理想的な量(重量)の数値を添え、お買い求めいただいています。



7. ARCUS と健康   「低周波公害」、「テニス肩」・・・(?)
                                       
 従来の弓と ARCUSの重量の差は10g前後ですが、「扱いやすい、楽だ」と好評をいただいています。 しかし疲れない秘密は軽さだけではありません。
 弓自体が共振して発生する振動数を調べると、従来のものではその最初のピークが15ヘルツ付近にあります。 実はこれが大きな問題で、20ヘルツ以下の低速振動は人体に有害とされているのです。 たとえ弱い振動でも、右手には絶えず悪影響が及んでいることになります。
 ところがARCUS は従来の材質に比べて共振しにくく、またその基本振動数は50ヘルツ前後の、楽音としても多用される周波数で、健康にはまったく問題が無い振動です。 長時間弾いても疲れにくい理由がおわかりいただけるでしょう。 「演奏家としてのキャリアをARCUS が救ってくれた」、そうおっしゃる演奏家さえおられます。
 ところで、テニスの際の腕の痛み、いわゆる「テニス肘」、「テニス肩」では、筋肉が炎症を起して柔軟性を失い、重症になると間接が縮んだり骨同士が擦れ合うことさえあるそうです。 その主な原因の一つとして「ラケットの振動」が挙げられます。
 最近ラケットの新素材として、チタン、タングステンなどと並びカーボンがよく用いられます。 軽く、反発力が強い反面、衝撃をよく吸収する、その優れた特性のためでしょう。 ただ、同じカーボンでも ARCUS の用いるカーボンファイバーとの間には、組成、純度、精度等の点で大きな差があります。

                      



8. ARCUS 各モデルの性能
   ARCUS の各モデルは、弾いてみてどんな差があるの?」

 
最も大きな違いは「音質」かもしれませんが、音量、反応の良さ、弾き心地を図で大まかに表すと以下のようになります。

  
          音量             弾き心地        反応の良さ



9. ARCUS 製作の精密さ

 ARCUS
には一本ずつ精密な完成検査が施され、固有のシリアルナンバーがついています。 お買い上げいただいた弓の番号は、私どもですべて控えてありますので、万一の際はその番号をご連絡ください。 スティック本体には10年間の保証がついていますが、事実上は半永久的とお考えいただきたいと思います。

 ARCUSの製作されるオーストリア! この国は「クラシック音楽」の魂であるのみならず、また優れた「環境保護先進国」でもあります。 ペルナンブコの産地ブラジルでは、現在政府によって伐採禁止措置が取られているのは大変残念なことですが、ARCUSのスティックは、自然素材をまったく使わずに製作されています。 (お馬さんの尻尾にはご協力いただいています! 「抜くときは痛くない」と聞いて、少しは安心していますが。)

 ARCUSの形状、寸法、デザインは、フランソワ−ズ・ トルテが200年前に弓の原型を生み出した基本的なアイデアを尊重しながらも、それには決してこだわっていません。 「軽い」、「反りが少ない」・・・、それは最先端の技術と素材を用いたからこそ、「木の弓」との間に生まれてしまった差であり、カーボン繊維という新素材を生かせる、よりよい条件なのです。
 そして、さらに優れた条件を求めて・・・、また、常に安定した性能と、繊細かつ力強い表現が出来る、「理想の弓」を目指して・・・。 ARCUSはこれからも「完成」を目指して歩んで行きたいと望んでいます。

ARCUSの製作には、ドイツ音響工学分野の第一人者、フリートリッヒ・ブルートナー博士の協力をいただいています。




10. ARCUS の比較テスト、コメント                                          

あるブラインド・テストの結果

 2001末ニュージーランドにおいて、ヴァイオリン弓9本の比較テストが行われました。

 うち4本は「フランスの有名なモダン・メーカーによる木製品」、1本は「ARCUS/コンチェルト」、あとの4本は日本でも販売されている、「他メーカーのカーボン弓」です。 弓には1番から9番までの番号がふられましたが、演奏はカーテンの蔭で行われたので、どの弓が何番か一切わかりません。 演奏したのは地元の著名交響楽団の副首席奏者です。

 審査項目は「レガートの音量と音質」、「スピカート(跳ばし弓奏法)の音量と音質」、「重音の音量と音質」、判定を下したのは、プロの音楽家及び教師からなる4名です。

 さて結果は・・・カーボン弓は(1本を除いて)木の弓とまったく遜色ないものでした。 最優秀の2本がカーボン弓で、そのうちの1本が「ARCUS/コンチェルト」だったのです。 残念ながら最下位の1本は、日本で最も著名だとされる某カーボン弓でした。

 ARCUSは上記の項目の全てにおいて、4本の木の弓に引けを取らず、むしろそれらを上回る成績を挙げました。 演奏者自身の言葉を借りれば、「軽さに慣れていなくて多少弾きにくかった」のだそうですが、それでも「木」を遥かに凌ぐ音がしたというのも面白い話です。

 ところで審査員の一人がのちに語ったところによれば、「自分は9本ともカーボンだと思っていたので、わざと全部に低い点数をつけた」とか・・・。 このようにカーボン弓に対する偏見が強い人でさえ、「どれが<木>でどれが<カーボン>なのか聞き分けられない」ことが明らかになりました。

 大方の意見の一致したところでは、カーボン弓は全体として弾きやすく、往々にして木の弓を凌ぐという結果になりました。

 このテストを行ったわけは、「木の弓と比較すると、<離れたところで> (<演奏者の耳元>でなくて)カーボン弓はどう響くか」を客観的に確かめたい、というのがそもそもの理由でした。 なぜなら、「木に比べてカーボンの音質は劣る」という説が流布してしまっているからなのです。

 カーボン弓に対する偏見を払拭するには、このように「見えないように、離れたところで弾く公平な」テストが不可欠です。 これには、演奏者自身が「耳元で判断した音の良し悪し」が必ずしも常に信用できるとは言えない、という側面もあります。

 結論としてこのテストにおいては、使われているのがカーボン弓なのか木の弓なのか、聴いている人間にはまず分からないということになりました。 実際にカーボンの方がいい音がするというケースを見ると、「カーボン製は従来品に劣る」どころか、一部では力関係はもはや逆転しているのです。



Andrew Victor 氏の私見 より

"COMPOSITE VIOLIN BOW REVIEWS" というサイトの中で Andrew Victor 氏 (California 在住、ヴァイオリン、チェロ奏者)は、

 「カーボン弓にも色々あるが、その価格と品質の間には一体どんな関係があるのだろう? そう思った私は、可能な限り手当たり次第に入手して比較してみました」と述べています。 

 そこでは様々なカーボン弓が実名を挙げて語られていますが、以下はその中の一部です。


 結論から言えば、価格の高いものは仕上げが優れているだけでなく、弾く者に「付加価値」をもたらしてくれるのが普通だと思うのですが、この点を認めようとしない演奏者が多いのです。安価な弓は奏法上の幾多の悪癖を容認してしまいやすいように思えるし、扱いやすくても、いい音を出す楽器はほとんどありません。
                             (中略)

 カーボン弓はどれも扱いやすく、柔軟性もバランス性もいい。 ただ値段の差が顕れるのは、弓が作り出す音質の点なのです。 超安価な部類のもの($300以下)は、それ以上のものに比べると、スティックの選別に際して配慮が充分なされているとは言えないようです。

                             (中略)

 ARCUSの音は素晴らしいと思います。 演奏者としても、聴く側としてもです。 (ここではヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのコンチェルト・モデルについて述べていますが) ARCUSは、木の弓、及び木の弓の特性を追ったカーボン弓に比べるとスティックは軽く、剛性に富んでいます。 強度があるため反り具合は少なく、毛は僅かに張るだけで張力が増し、スクリューの「半回転」は通常の「二回転」に相当します。 スティックが「やわ」でないからです。

                             
(中略)

 
これまでの経験からすると「元弓は重くて扱いにくい」ものですが、その軽さとも相俟ってでしょうか、ARCUSはその剛性のおかげでコントロールが大変楽です。 これまでに手にしたどの弓よりも容易です。 例えば「跳ばし弓」から「レガート」への移行など、瞬時に滑らかに出来ます。 コンチェルトの歯切れのよさは、他のどの弓よりも鮮やかに感じられます。 特に「オフ・ストリングで跳んでいる」とき、「半跳ばし」の際などです。

   
                          (中略)

 上記の感想はARCUS/コンチェルトを初めて試したときのものですが、この弓だけを二ヶ月間使った後の今でも考えは変わりません。 むしろ少々付け加えれば、定期間ARCUSを使ったことにより、私のボウイング・テクニックが進歩したと思うのです。 (常用していた弓の)「***」を二ヶ月間の空白の後に再び手にしたところ、即座にうまく使いこなせたからです。 弓を持つ際の力の抜き方が身に付いたためで、ARCUSの「超軽量」が可能ならしめたことです。


(このサイトは、2000年7月の初出以来、2001年の9月にかけて更新されたものです。)




「しらたまのヴァイオリン・メモより

 ヴァイオリン愛好家の間で大変著名なサイトの一つである「しらたまのヴァイオリン・メモ」の掲示板の中で、「しらたまさん」は以下のように記しています。


 私が使ったARCUSのコンチェルトについてですが(カーボン弓にもいろいろあります)、一言で言うと「軽くて扱いやすい」です。

 最初は「こんな軽くてG線が鳴らせるんかいな?」と疑い半分でしたが、慣れたらGも問題なくなりました。 Gをうまく鳴らそうとしているうちに、私の弾き方も変わってきました。 具体的には弓の初速が速くなりました。 自分としてはいい傾向だと思います。 今は、私が弓をどうこうするというのではなく、弓に体の使い方を教えてもらっている感じです。

 また、2ヶ月ほど使う間に、普通の弓ではこころもとないワザがより確実にできることに気づきました(速いスピカートとか)。 軽さと弾力、握りの太さ、そしてレスポンスのよさによる相乗効果だと思います。 今まで、弓の重さに振り回されて使うにいたっていなかった「弓の力」(圧力ではなく弾力?)を利用することも覚えました。 はじめ、通常の弓よりも反りが少なく、見た目無骨な感じで、返ってくる手ごたえも固くて不満を感じていたのですが、結局それが弓の力なのですね。 これらは、感覚として身に付きはじめているので、普通の弓に持ち替えた時も同じように扱えるようになりました。 その代わりカーボン弓よりも神経を使いますが。

 出てくる音は、しっとりと安定していて表現をつないでいきやすく、広がりがあり、きめが細かい感じです。 (他のメーカーのカーボン弓はもっと音が太かったような気がします) ただ、このきめの細かさ(線が細く感じる)は、好みの分かれるところかもしれません。 普通の弓との音の差は、楽器を取り替えたくらいの違いを感じます。

 弾き心地がかなり個性的なので、満足するかどうかは、その方の受け止め方、柔軟性によると思いますが、使いこなしていくとかなりな収穫を得られる弓なんじゃないかなと思います。

        
                               2003年2月22日



11. 図で見る ARCUS の特性                                               

                      A R C U S の 音 質
              

             ARCUS の音質は、従来の最高級素材ペルナンブコ、
             さらに他のカーボン弓をも凌ぐものです。





                A R C U S の 剛 性 (単位重量あたりの)
                

                    カーボンは、軽くてもこんなにコシが強い

             上から、「」、「チタン」、「アルミニウム」、「ペルナンブコ」、
            そして「カーボン」。





                    A R C U S 共 振 性
         

        上から、「」(楽器の表板)、「かえで」(裏板)、「ペルナンブコ
        (弓用の最高級木材)、そして「カーボン」の共振性。


        楽器本体と異なり、弓は共鳴、共振しないのが理想 です。
        この点でもカーボンは極めて優れています。



12. 弓の手入れ、ARCUS の手入れ



 ・ ARCUS のスティックの手入れ
    
(他の弓では塗料、ニスが剥げるので絶対に行わないでください。
     
ARCUSでは音質向上のため、敢えて塗装を施しておりません。)

            

  ペーパータオルに          ごく少量(1/10程度)の      毛に(油分が)付着しないよう
アルコールをしみ込ませ
、        油をたらして、        注意しながら、スティックの
                        ローション状にし、          汚れを拭き取ります。



 ・ 毛の手入れ、再生 (
他の弓では、フロックを外すなど、アルコールが
                スティックに決して触れないよう、注意してください。
)

   

  毛を緩めに張り、  松脂や汚れを徹底的に      乾いた       最後に櫛、歯ブラシ
 ペーパータオルに     落としたいときは、   ペーパータオルで     などで整えます。
 アルコールを浸して   直接アルコールで     拭き取り、数分間     毛替えが不要
  拭き取ります。        流し去ります。      乾かしてから      と思えるほどです。
 


 ・ 銀、外部金属の手入れ

 市販の金属磨き用布で、輝きを保ちましょう! 松脂の粉末で傷がつかぬよう注意してください。






 ☆ ARCUS 販売価格

      2006/3/1 本国設定による
ヨーロッパ アメリカ* カナダ* イギリス*  日 本* オーストラリア*
    モ デ ル フロック  仕 様  ユーロ  米ドル  加ドル   ポンド    円   豪ドル
ヴァイオリン

 丸弓・角弓
カデンツァ スネーク
  ウッド
ゴールド
  585
3,400.- 3,880.- 5,080.- 2,485.- 505,000  5,680.-
カデンツァ スネーク
  ウッド
シルバー
 /チタン
2,800.- 3,200.- 4,190.- 2,045.- 420,000  4,680.-
コンチェルト スネーク
  ウッド
シルバー
 /チタン
1,900.- 2,170.- 2,840.- 1,390.- 285,000  3,180.-
シンフォニア  黒 檀 シルバー 1,350.- 1,540.- 2,020.-  990.- 205,000  2,260.-
 ソ ナ タ  黒 檀 ニッケル
 シルバー
 850.-  970.- 1,270.-  625.- 130,000  1,420.-
ヴェローチェ ニッケル
 シルバー
 500.-  570.-  750.-  365.-  75,000   840.-
E-ヴァイオリン ヴェガ  黒 檀 ニッケル
 シルバー
1,000.- 1,140.- 1,500.-  730.- 150,000  1,670.-
ヴ ィ オ ラ

 丸弓・角弓
カデンツァ スネーク
  ウッド
ゴールド
  585
3,500.- 3,990.- 5,230.- 2,555.- 520,000  5,850.-
カデンツァ スネーク
  ウッド
シルバー
 /チタン
2,900.- 3,310.- 4,340.- 2,120.- 435,000  4,840.-
コンチェルト スネーク
  ウッド
シルバー
 /チタン
2,000.- 2,280.- 2,990.- 1,460 300,000  3,340.-
シンフォニア  黒 檀 シルバー 1,400.- 1,600.- 2,100.- 1,025.- 210,000  2,340.-
 ソ ナ タ  黒 檀 ニッケル
 シルバー
 900.- 1,030.- 1,350.-  660.- 135,000  1,510.-
ヴェローチェ ニッケル
 シルバー
 550.-  630.-  830.-  405.-  85,000   920.-
 チ ェ ロ

  角 弓
カデンツァ スネーク
  ウッド
ゴールド
  585
3,700.- 4,220.- 5,530.- 2,700.- 550,000  6,180.-
カデンツァ スネーク
  ウッド
シルバー
 /チタン
3,100.- 3,540.- 4,630.- 2,265.- 465,000  5,180.-
コンチェルト スネーク
  ウッド
シルバー
 /チタン
2,100.- 2,400.- 3,140.- 1,535.- 315,000  3,510.-
シンフォニア  黒 檀 シルバー 1,500.- 1,710.- 2,250.- 1,095.- 225,000  2,510.-
 ソ ナ タ  黒 檀 ニッケル
 シルバー
 950.- 1,090.- 1,420.- 1,420.- 145,000 145,000
ヴェローチェ ニッケル
 シルバー
 600.-  690.-  900.-  440.-  90,000  1,010.-
コントラバス

   丸 弓
コンチェルト
 
ジャーマン
スネーク
  ウッド
シルバー
 /チタン
2,500.- 2,850.- 3,740.- 1,825.- 375,000  4,180.-
シンフォニア
 
ジャーマン
 黒 檀 シルバー
 /チタン
1,600.- 1,830.- 2,390.- 1,170.- 240,000  2,670.-
ヴェローチェ
 
ジャーマン
ニッケル
 シルバー
 900.-  900.- 1,350.-  660.- 135,000  1,510.-
コンチェルト
 
フレンチ
スネーク
  ウッド
シルバー 2,380.- 2,720.- 3,560.- 1,740.- 355,000  3,980.-
シンフォニア
 
フレンチ
 黒 檀 シルバー 1,600.- 1,830.- 2,390.- 1,170.-  240,000  2,670.-
ヴェローチェ
 
フレンチ
ニッケル
 シルバー
 900.-  900.- 1,350.-  660.- 135,000  1,510.-

* 価格はユーロに基づいており、為替相場により変動することがあります。



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